早雲寺寺宝展


昨日は家族で湯本の早雲寺に行った。
一年に一度の寺宝展が開催されているからである。
今まで何度も訪問していたが、本堂に入れていただくのは、今回が初めてである。
また五代の画像を、直接、拝見するのは、氏康公を除き初めてであった。
江戸期の絵師土佐光起筆の五代尊像は、質実にして揺ぎ無い筆致で描かれた堂々たるもので、今更ながら感動した。
実は、有名な早雲と氏綱の画像は、北条家存続中のもので、三代以降が光起の筆だが、その光起も早雲像、氏綱像を描いているので、ちと複雑である。
それにしても、北条家の遺品は極めて少なく、ほとんどが再建された江戸期のものであるのが残念である。
すべての堂塔伽藍は秀吉軍に意味もなく焼かれ、寺宝のほとんどは略奪等で散逸したらしい。
ただ、江戸期に描かれた襖絵の龍虎図は見事なものである。
また、幻庵設計と伝えられていた方丈裏枯山水石庭は、調査によると、江戸初期の築庭とのこと。

寺宝展の最終日であり、かつ日曜の午後であるにもかかわらず、訪れる人が少ないのには驚かされた。
展示物の撮影は禁じられているので残念だったが、三鱗家紋と氏政使用の文台の模様が入ったクリアホルダー三枚組み(500円)が買えたのでよかった。
自然林に囲まれた静寂の中で、家族とともに北条家の遺徳に触れる機会が持てたのは幸いであった。

仍如件