【小笠原氏城郭群オフレポート7】桐原城

この城には参りました。
山家、埴原も凄かったけど、この城はさらにその上を行く。
何が凄いかと言うと、小笠原流の段曲輪群や竪堀群などの要素を擁しつつ、さらに一歩、進んでいるところが凄い。
何が進んでいるかというと、埴原では未完成の雰囲気を漂わせていた背後の堀切・竪堀処理がほぼ完成されている点(大鉈でぶったぎったような見事な竪堀!)、関東風というか北条家の好みそうなテクニカルな虎口処理(しかも石積み)がなされている点、極めて複雑な導入路と射点を構成している点(杉山城風な合理性)、本曲輪を中心とした半扇型の縄張りにより、曲輪間が有機的に連携できる点、石積みも腰巻、鉢巻をうまく使い分け、顎石までかましている点など、ほぼ完璧である。
いうなれば、エイジア状態なのである。つまり、ロック、ポップ、プログレなどのすべての音楽要素を取り揃えつつ、それが合理的に無理なく融合されているということ。
♪It was the heat of the moment
Telling me what my heart meant
The heat of the moment showed in your eyes♪
という感じね。
もっとわかりやすくというか、個人的に言えば、「竹内結子状態」である(笑)。
つまり、惚れちゃって、何もかもすべて好きということ(ポッ)。
山城を築きやすいという地形的利点は確かにあったとしても、これだけのデザイン力を発揮した桐原氏とは、いったい何者!?
小笠原氏流築城術の本流に位置する城であることは確かだが、突出してすごいのはなぜ!?
ついでに、悪名高い「日本城郭大系(長野県編)」に取り上げられていないのはなぜ!?
恐れ多くて書けなかったためか(大爆)!?
まさにこの城こそ、フェルメールに喩えれば、傑作群の中でも究極の傑作「真珠の耳飾りの少女」なのだ! 
ということで、この城は、私のような未熟者がもの申すのは、憚られるほどの究極の名作であり、論外なほどの城郭オーパーツである。
これ以上、何も申し上げることはありません。
黙って行くべし!
写真は、竪堀、石積み、虎口