超オススメ「日本映画最終戦争」



 
 『戦国奇譚 首』も、ようやく書店に出回り始めた。金曜は新宿のジュンク堂に行ったところ、時代小説コーナーの目線の高さに、表紙を正面にして何冊か置かれていた。ちょうど同時期に出たばかりの上田秀人氏の新作『孤闘 立花宗茂』と並べられていたが、減り方で二冊ほど負けていた。やはり、単体武将モノには勝てません(笑)。
 この書店は歴史資料関連も多く在庫してくれているので、ほしいものばかりだが、荷物になるで、今回は、吉川弘文館の北島万次先生著「加藤清正 朝鮮侵略の実像」のみを購入。時間があったので、映画本コーナーへ。
 久しぶりだったので、いろいろ面白そうな本があったが、今回は『日本映画最終戦争』を購入。この本は『映画秘宝』というマニア向け雑誌に連載していたものをまとめたものらしい。少し読んだだけで気に入り、即、購入。
 映画に詳しい三人が、鼎談する形式だが、すべての批評が的を射ていて爽快の一言。私がずっと抱いていた日本映画に対する怒りや疑問を代弁してくれていて本当に嬉しい。それだけでなく、読んでいると、ストーリー作りなどの基本も学べるので、映画人を目指す方は必読である。
 まあ、ずらりと駄作や珍品がならべられたわけだが、今の若者は、感受性豊かな時期に、こうした日本映画ばかり見せられて、かわいそうだとつくづく思った。私らの若い頃は、名作ばかりで、どれを見ても楽しめたし勉強にもなった。ロックもそうであったが、何ごとも進化の先には、衰退が待っていると、再認識させられた。
 こうした日本映画を観て育った若者が、将来、映画人となっても、まともな映画を作るわけがなく、現代同様の不毛の時代が続くだけである。こうした「王様は裸だ」と言い切ってくれる本が出たことは、実に喜ばしい。映画好きも必読である。
 新時代のニューシネマの夜明けは間近だ。