『武田家滅亡』が文庫化されます


あの不朽の名作(笑)、『武田家滅亡』が文庫化される運びになりました。
いまだのハードカバー(三刷り)の在庫が残っていると思っていたので、発表を手控えていましたが、すでにセブンアンドワイに、『武田家滅亡』の文庫化が発表されていました。
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/R0459160
定価は820円(とのこと)、発売はこの12月23日となります。
 ここに来られている方の大半は、すでに読了だと思いますので、あえて買ってくれとは言いませんが(笑)、この機会に、ご友人方にご紹介いただければ幸いです。
 実は、この七〜八月は『武田家滅亡』の手直しに精力を傾けておりました。本来は、不自然な”視点スイッチ”と「そして」、「しかし」を減らすだけにするつもりだったのですが、『北条氏照』執筆時、試行錯誤の末に身に付けた「文庫向け文章の追求」をここでもやりたくなり、予想外の工数をかけてしまいました。角川の編集から苦情が出るほどの手直しをやってしまいましたが、この方が、文庫読者からの支持が絶対に得られるという確信があります。
 文庫読者は電車の中などで読む機会が多いので、「ためになって面白い」という私の執筆ポリシーの「ためになる」部分を削減し、「面白さ」をさらに引き出すためのスピード感を増すように務めました。ラストが近づくにつれての「怒濤感」は格段に増しているはずです。長くなるので(笑)、どこをデジタル・リマスターしたのか、要点だけ箇条書きします。

・ 文章のリズム感を大切にするため、「そして」や「しかし」といった接続詞を減らす
・ ラストが近づくにつれて、ウンチク解説部分を減らし、ぐいぐい前に引っ張っていく感じを強める(ですからウンチク好きの方はハードカバーで正解)
・ 表記統一の徹底、難しい漢字を減らし標準表記に則った読みやすい文章にする

つまり、文学的なケレン味を後退させ、さらっと読めるようにリマスターしたわけです。ゴツゴツした肌触りの歴史小説がお好きな方以外は、文庫版がオススメとなります。
こうしたリマスターって、他の作家さんはあまりやらないのでしょうかね。
私が暇なのかな(笑)。